華麗なる海外逃亡記

1年半、41ヶ国にも及ぶ(現在進行形)、自分のバックパッカーとしての記録を記した雑記です。

第5話 旅人 ~忘れ物の代償~

 2日目の朝を迎えた私は、その日もアンディと散策を進めるべく、とある駅にて彼と合流した。とある駅というのは、数あるドバイで有名なショッピングモールの中で、私が最も行きたかった場所の前にある駅である。そのショッピングモールとは、イブン・バットゥータモールと呼ばれる場所である。世界史を齧った方なら知っているかもしれないが、イブン・バットゥータとは、14世紀に世界中を旅した、イスラム世界出身の旅人であり、彼が遺した日記は貴重な歴史資料のひとつである。そう、バックパッカーの大先輩であり、ブロガーの先祖みたいな人物なのである。つまり、私は実質現代に生きるイブン・バットゥータなのだ(違う)。

 

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イブン・バットゥータが旅したルート

 

そんなイブン・バットゥータが旅した様々な場所(チュニジア、エジプト、ペルシア、インド、アンダルシア、中国)がエリアごとに分けられて、再現されているのが、イブン・バットゥータモールなのである。まさにドバイのリッチさとエンターテインメント性の現れである。そして、ここには私の因縁の相手、そしてもはやこのブログにおいて準レギュラーとなりつつある、あの某コーヒーチェーン店がある。しかも、ただのス○ーバッ○スではない。世界一美しいと言われているス○ーバッ○スがこのモールのペルシアエリアにあるのだ。その世界観に惹かれ、バックパッカーの私はドバイでどうしても行きたかった場所のひとつとして、このショッピングモールをピックアップした。

 合流してショッピングモールに入った私とアンディを迎えたのは、いきなりのペルシアエリアであった。ペルシア風モスク独特の青いタイルによる装飾を施されたドームがいくつもあり、そのようなエリアを進むと、そこには圧倒的にド派手な空間が広がった。そして、目を向けると「Starbucks」の文字が。トラウマを振り切りつつ、せっかくだからということで、世界一美しいス○バで飲み物を注文することにした。いちご好きの私には有難いことに、レギュラーメニューでいちごのスムージーがあったので、迷いなくそれをオーダーした。ただ、このスムージーは味が薄く、またいちごの種が非常に硬く、大量に入っていたため、決して美味しいものではなかった。

 

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ペルシアエリアの一角

 

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世界一美しいス○ーバッ○ス


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あまり美味しくなかったいちごスムージー

 

 ペルシアエリアをあとにした私とアンディを次に待っていたのは、アンダルシアエリアである。いかにも南国な木々が立ち並ぶ中、とある家電量販店があり、私は重大なことを思い出した。当時私は、オンライン授業を受けるために、ラップトップを持って旅をしていたのだが、まさかの充電器を日本に置いてくるという圧倒的ヘマをしでかしたのである。それを思い出した私は、すぐさま家電量販店にてMacBook用の充電器を購入した。ここで約8000円が飛んでいったのだが、これは当時の私には重大な問題であった。というのも、旅を舐めていたのと、現実を知らなかった私は、現金を1万円分ほどしか持っていかなかったのである。さらに悪いことに、私のクレジットカードにはキャッシング枠がないため、ATMでの現金引き出しが出来ないのだ。また、当時の私はそんなことも知らず、さらにドバイの人はホスピタリティが凄いので、お金を払わずともレストランで食事を出来ることがあるのではないかなどという訳の分からない幻想を抱いていた。もう私の無知さのライフはゼロよーと言いたいところなのだが、おまけにリサーチ不足で物価感も知らずに、ローカルショップを選べば、割と安くなんでも手に入るなどと勘違いをしていた。故に、現金の大半を失ったことで、圧倒的ピンチに追い込まれたのだが、私はこの時まだ数日後に起きる悲劇を知らなかった。それはまた後日、記述する。

 

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アンダルシアエリア

 

 ともあれ、次のエリアに進んだ私達を待っていたのは、エジプトエリアである。個人的にとても楽しみにしていたエリアだったので、期待値は高かったのだが、そのエリアは非常に小さかった。もちろんエジプトの世界観をある程度は楽しめたのだが、本当に小さかった。どれぐらい小さかったかというと、私が東京で住んでいる激狭ワンルームアパートぐらい狭かった。いや、それは誇張が過ぎた。

 

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自宅を思わせる激狭エジプトエリア

 

 次に進んだ私達を待っていたのは、チュニジアエリアだった。非常に明るい空が天井いっぱいに描かれており、屋外にいるように感じつつも、屋内にいるような気もする、非常に不思議な感覚に陥るエリアだったのだが、個人的には嫌いではなかった。

 

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不思議な感覚に陥るチュニジアエリア

 

 テンションが謎なアンディを引き連れて進むと、私たちはインドエリアに行き着いた。インドエリアには、ただドデカいインド象の置物があったのだが、それ以外は特には何も無かった。おそらく最も地味なエリアなのである。

 

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インドエリアで唯一アイコニックな像

 

 最後に私達を待っていたのは、中国エリアである。このエリアはペルシアエリアに勝るとも劣らないほど派手なエリアであり、ショッピングモールに存在する理由が圧倒的に不明な巨大な中国船やカンフーパンダの置物など、中国を思わせる様々な物が入り交じっていた。また、やはりというか、エリア内は赤基調の塗装で埋め尽くされており、非常に人のテンションを狂わせるのか、基本的にクールなアンディが、私が動画を撮影している時に、不意に謎のテンションでピースをしながら映り込んできた。中国エリア、恐るべし。そして何故か、アンディはカンフーパンダの名前(ポー)を知っており、理由を聞くと、彼はカンフーパンダが好きだと言った。彼は本当に謎である。

 

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テンションを狂わせる魔の中国エリア


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ショッピングモールに置く必要性を感じない巨大船


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アンディのお気に入り、カンフーパンダの置物

 

そんなこんなでこの巨大ショッピングモールの探索を終えた私達は、まだ時間も浅かったため、パームジュメイラという人工島に向かうことにした。セレブが集まる人工島で私たちが見たものとは......

 

次回、10回言えば肘が膝になる食べ物

                                                     to be continued......