華麗なる海外逃亡記

1年半、41ヶ国にも及ぶ(現在進行形)、自分のバックパッカーとしての記録を記した雑記です。

第8話 危機 ~大事件発生~

 再び宿探し難民となった私は、前日のようにカウチサーフィンで乱れ打ちをしつつ、観光をしながら待つことにした。まずはシャルジャからタクシーでパームジュメイラへ。アンディと行けなかったパームジュメイラのビーチに行くため、タクシーの運転手にパームジュメイラのビーチとだけ伝え、乗車。着いた先には高級車ばかりが止まっている圧倒的な金持ちビーチがあった。そこで私は嫌な予感がしつつも、タクシーから下車し、ビーチの入り口まで歩いた。そこで入り口にいた男に呼び止められ、そこが予約制のビーチであるということを知らされた。そう、私の悪い予感は的中したのだ。あのタクシードライバー、マジで呪う。仕方なく、そこでパームジュメイラにある別のビーチを聞いてみることにした。すると、その入り口の男はひとつのビーチを私に勧めた。そこには電車がなかったので、別のタクシードライバーを拾い、勧められたビーチに向かった。着いた先はこれまたリッチな雰囲気漂うビーチ。しかしもちろん、予約制のビーチの入り口にいた男に聞いたわけなので、予約制なわけがない。そう、完全に私はパームジュメイラのビーチにてくつろぐ自分を想像していた。ビーチの入口のサングラスを着けた男の前を颯爽と通り過ぎようとした矢先、私はその男に呼び止められた。「お前、歳はいくつだ?」彼は言った。私は当時、19歳だったので、年齢を告げると、彼は私を追い出した。そう、そこは20歳以上限定のビーチだったのだ。あと数ヶ月の差すら許さないその男を私は許さない。

 

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世界屈指の超高級5つ星(7つ星)ホテルブルジュ・アル・アラブ


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パームジュメイラのプール施設

 

 もうこうなったら後には引けないので、パームジュメイラではなくともビーチに行かねば気が済まない。そう思った私は、これが最後とばかりにタクシーに乗り込み、本土にあるJBR(ジュメイラ・ビーチ・リゾート)という場所のビーチに行くことにした。泳げないのにもかかわらず、必死にビーチを探したのは、おそらく海無し県出身の性だったのだろう。ドバイの海はあまり綺麗ではない海だったが、気温のせいで(おかげで)水の温度は温水プールであった。そんなビーチで河童(私)が水に流されるのを楽しんでいると、一人の男が話しかけてきた。彼はガーナ出身らしく、とにかくフレンドリーだった。特に何か意味のある会話をしたわけではないが、その場で連絡先を交換&写真撮影し、私はビーチを去った。後日談としては、彼はたまに連絡してきては、私に何かいいビジネスはないかと尋ねてくる。世の中には、お金が絡むと必死にならざるを得ない人々がいるのは理解出来るのだが、それでもやはりいい気持ちはしないのである。

 

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ビーチの姉ちゃんを盗撮(クソ)

 

 ビーチを後にした私は、未だにカウチサーフィンでのいい返事を受けられていなかったということもあり、やはり恒例となったス○ーバッ○スで待ちぼうけることしにた。日が落ちてもホストが見つからなかったので、仕方なく私は2泊3日で格安のホステル(当時最も安かったホステル)を予約することにした。そのホステルは偶然にも、JBRにあったので、そこまで歩くことにした。JBRはドバイのナイトスポットかつリッチスポットであり、日本でプリウスを見るよりもハイペースでランボルギーニフェラーリなどといった超高級車を見掛けるような場所である。

 

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JBRの様子


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JBRの様子その2

 

ホステルに向かっていると、カウチサーフィンより通知が。ホストが見つかったのかと思い確認すると、そうではなくハングアウトのお誘いだった。カウチサーフィンには、ハングアウトという機能があり、ハングアウトONになっている近くのユーザーにリクエストを送り、成立すれば合流して何かをすることが出来るのである。ドバイに住むアレクサンドリア出身のエジプト人の若い男からリクエストが届いたので、ホステルに向かう以外にする事が無かった私は、試しに会ってみることにした。彼の名はホッサム。かつて京都大学で留学経験のあるエンジニアだった。彼と合流した私は、とりあえずホステルに荷物を置きに行きたいと申し出、彼は承諾した。彼と共にホステルに向かったのだが、このホステルは非常に分かりずらい場所にあり、行き着くだけで難易度がかなり高かった。そこでホッサムはそのホステルに連絡してくれ、私達はとある高層マンションの一室にホステルがあるということを知った。そして、部屋に着いた私は、荷物を置き、チェックインをすることに。しかし、そのホステルは、現金払いのみ受け付けていることを知らされたのである。ぼったくりボートのせいで、ほとんど現金を持っていなかった私は、ATMまで現金を引き出しに行くことにした。私とホッサムは再びJBRの中心地へ繰り出し、ATMマシンを探すことに。すると、すぐさまATMマシンは見つかった。ATMマシンが3台並んで屋内に設置されており、入り口には警備員がいたので、信用出来るATMだと確信した。しかしここで、大事件が発生した。当時の私は、自分のクレジットカードで海外ATMから現金引き出しが出来ないということを知らなかったため、ATMで自分のクレジットカードが拒否されたことで焦ってしまった。そこで、何度かクレジットカードをATMに差し込み直していたところ、クレジットカードがATMに吸い込まれたまま、返ってこなくなってしまったのである。一応2枚のクレジットカードを持っていたものの、焦りに焦った私は、ことの次第を外で待っていたホッサムに報告。ATMの会社に電話するも、私はクレジットカード番号が分からなかったので、結局クレジットカードは戻ってこなかった。すぐさま私はクレジットカード会社に電話し、吸い込まれたクレジットカードを停止させた。私は慌てふためき、落ち込むことしか出来なかった。そんな私にホッサムは親切にも、とある提案をしてくれた。私のもう1枚のクレジットカードでホッサムがホステルの代金分の買い物をして、彼ががホステルの現金払いを代わりにしてくれるという案である。ただ、ホッサムにも現金の手持ちがなかったため、彼は現金を持って来るように彼の友人にお願いしてくれた。少し待つと、彼の友人は到着し、私達は3人でまずは腹ごしらえをすることに。私達はレストランで、シャワルマと呼ばれる、トルティーヤのような生地で具材を挟んだ中東のサンドイッチを注文した。このシャワルマ、日本ではケバブ屋で使用されているのが有名なのだが、ホッサムが注文したものは凄く特殊なシャワルマであった。というのも、そのシャワルマには、チョコレートとバナナが挟まれていたのである。彼に促され、少し食べたところ、それはそれで美味しかったのだが、不思議な感覚がした。昔、心斎橋の唐揚げ屋で食べたチョコレートをディップする唐揚げと同じ感覚だった。私が頼んだシャワルマは、野菜と肉が挟まれた、いわゆる普通のシャワルマだったので、想像の範疇の可もなく不可もなくな味であった。


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普通のシャワルマ(左)とチョコバナナシャワルマ(右)

 

 腹ごしらえを終えた私達は、ホッサムの買い物のため、スーパーに向かった。スーパーでホステルの代金分の買い物を済ませ、そこで私がもう1枚のクレジットカードで支払いを済ませた。すると約束通り、ホッサムは私に現金を手渡した。その後、ホッサムと彼の友人は帰宅するとの事だったので、私は彼らに礼を言って別れ、ホステルに戻り、ホッサムから受けとった現金で支払いを済ませた。人生初のホステルに宿泊した私を待っていたものとは.......

 

次回、国際色豊かな出会い

                                                      to be continued.......