華麗なる海外逃亡記

1年半、41ヶ国にも及ぶ(現在進行形)、自分のバックパッカーとしての記録を記した雑記です。

第15話 神秘 ~ボスニアでの様々な人との出会い~

 サラエヴォでの観光を一通り終えた私は、暇を持て余すはずであった。というのも、私は極めてせっかちなので、本来であればすぐさま次の街へ移るというのが私のすることなのであるが、当時の私には2つの行きたい街があった。ひとつが友人の住む街、トラヴニク。もうひとつが世界遺産の街、モスタルサラエヴォを拠点に日帰りでこのふたつの街に行くことを達成しないと、私はボスニア・ヘルツェゴビナを出られなかったのである。トラヴニクには、エディンが連れて行ってくれると言っていたのだが、肝心のエディンは多忙でなかなか会えない。ということで、まずはモスタルに行こうとするも、現金がない&クレジットカード残高圧倒的ピンチで、もはやクレカ利用制限リセット日まで生き抜けるかすら分からなかったのである。しかし幸いながら、エディンが私が好きなだけアパートに滞在することを許可してくれたため、私はサラエヴォの街で3週間の沈没をすることになった。これは、私が今まで行ってきた街の中で最も長い滞在期間であった(2022年12月31日現在)。沈没の期間中に行ったことは2つ。1つ目は、当時コロナウイルスの影響で1年延期されていたサッカーのEURO2020が開催されており、多くの試合を私はマケドニアの友人とオンラインで一緒に観戦していた。そしてもう1つはもちろんドバイと同じ戦法。そう、カウチサーフィンのハングアウトである。サラエヴォでは本当に様々な人に出会ったのであるが、その時のことを書き連ねることにする。まずは当時、サラエヴォに住んでいたモロッコ人3人組との話。彼らとは滞在中に何度もあったのだが、本当に親切な人達でした。まずは彼らを紹介する。1人目はムスタファ。サッカー選手で言うなら、サネに似ていた(絶妙に伝わりづらい例え)。彼の英語はダルそうに話すため、たまに何を言ってるのか分からなかった。日本人にもそういうタイプはいるが、やはり本人に悪気がない分つっこみづらい。2人目はユセフ。彼はサッカー選手で例えるなら、リカルド・ロドリゲスに似ていた(絶妙に伝わりづらい例えその2)。彼は後に色々な事を私に教えてくれた。3人目はザカリア。彼はサッカー選手で例えるなら、アザールに似ていた(絶妙に伝わりづらい........n回目)。彼は最後に素敵な贈り物を授けてくれた(また次回に詳細は記述する)。初めて会った時、私達はサラエヴォ旧市街のとある隠れ家的カフェで落ち合った。軽い挨拶を終え、エスプレッソを注文。今振り返ると、この時エスプレッソを注文した私は、まだまだバルカン半島ど素人であったように思う(理由は次回判明する)。そして様々なことについて話し、写真を撮るなどしたあと、街中にアザーンが鳴り響く時間になった。アザーンとは、礼拝の時間になるとモスクより流されるお知らせの放送のようなものである。すると彼らは私をモスクでの礼拝に招待した。ここまで嫌味のない宗教勧誘は初めてである。割と無神論者の私ではあるが、イスラムの文化に興味があることと、コーヒーを奢っていただいたことにより、札束で精神的に殴られていたため、断ることなく彼らに着いていくことに。イスラム教というものは、世間のイメージとは裏腹に、かなり来る者拒まずというか、極めてオープンでウェルカムな宗教、もしくはそういった信者が多い宗教であるので(もちろん地域と宗派にもよるとは思うが)、どう見てもイスラム教徒ではない極東乞食の私をモスク出会った人達はみな歓迎してくれた。彼らは私にサラマリコン(salaam alaykum)と言って歓迎してくれた。こんにちはということである。そうして彼らと挨拶を交わしているだけで、私はイスラムコミュニティに入り込んだように思え、旅をしていることを実感した。そう、彼らにとっての「日常」に「異邦人」である私が入り込むことで、私は「非日常」を感じていたのだ。そう思うと、やはりコミュニティに入りきれてはいなかったのかもしれない。いずれにせよ、まずはモスクに入る前に洗い場へ。神聖な場所であるモスクでの礼拝の前には、まず身体を清める必要がある。手や足だけでなく、顔や頭、耳や鼻の穴までも水で清めるのである。そして清め終えると、モスクのメインホールへ。前でお偉いさんが何やら怪しげな呪文を唱え(コーランのこと)、信者達がそれに合わせて様々なムーブメントをかまし、礼拝をする。ユセフが横でキメるムーブメントを横目で追い、それを真似る。私の初のイスラム式礼拝体験はそうしたものだった。そしてどこまでいっても発想が変な私は、メッカの方向に向けて土下座をするムーブメントを行う際に、神聖なことなど考えることもなく、ただただ利根川の焼き土下座を思い出していた。

 

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当時の私のイメージ図

 

礼拝が終わると、モロッコ人三人衆と共にモスクの各所で記念撮影を。私はモスクを神聖な場所と思っていたため(実際神聖ではあるのだが)、写真撮影に対して極めて高いハードルを感じていた。しかし、彼らはそんなことお構い無しに、大量の写真を撮り出した。これ以来、私はモスクを訪れる際に、リスペクトを持ちつつも、極めてカジュアルな気持ちで観光を進められるようになった。

 

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当時の礼拝の様子

 

その後、私達はバシュチャルシア広場にあるケバブショップに移動。ムスタファは乞食筆者に当然のようにドネルケバブを奢ってくれた。

 

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当時食べたドネルケバブ

 

その後、彼らとは何度もカフェに行ったりしたのだが、その時の話はまた次回。私がモロッコ人3人衆に連れられて、目にした一般人未体験ゾーンとは......

 

次回、圧倒的特殊体験

                                                      to be continued......