第18話 過食 ~隠れた観光名所~
その日、家主のエディンは朝に時間を作ってくれた。彼はアパートまで私を迎えに来てくれた。そう、彼は私が友人に会うためにトラヴニクに行きたいと言うと、連れて行ってくれると申し出てくれたのだ。古い小型のプジョーに乗った私は、しばらく車に揺られながらエディンと会話を楽しんだ。彼はよくあくびをするしていた。よほど忙しくて疲れていたのだろう。彼には感謝しかない。しばらく走っていて気づいたのだが、ボスニアの田舎道にはたくさんの墓地がある。恐らく、内線の影響であろう。いずれにせよ、高速道路に乗ったようだった。途中のインターチェンジで彼はストップした。そこで彼は、大量のブレクを買ってくれた。ブレクとは、バルカン半島名物のパンである。ブレクの中でも色々な種類があり、形や中に入ってる物が様々である。形は渦巻き型や筒状のものが連なったもの、四角いものなどがあり、具材としてはチーズはほぼ確実に入っており、牛肉が入ったものやほうれん草が入ったものなどが一般的である。私がそこで食べたのは筒状の牛肉のものであった。
ブレクのショーウインドウ
美味しかったブレク
味はヘビーでシンプルながらも、非常に好みであった。これにより、滞在中に何度もブレクを食べることとなった。いずれにせよ、満腹になった私はボスニアの田舎道を楽しんでいた。
ボスニアの田舎道
ボスニアの田舎道その2
数時間してついに到着。トラヴニク近郊の村に住む友人と合流することに成功した。3人でまずはカフェに行く。会話を楽しみながらコーヒーを啜ったのだが、このカフェの前の景色がとても綺麗だった。
カフェ前の景色
この街は水が綺麗だったので、飲めるのかと友人に問うと、綺麗に見えてもバクテリアまみれで飲めないそうだ。どうやら、トラヴニクの辺りには環境破壊ガチ勢の工場があるようなのだ。カフェを出ると、エディンは一足先に帰ってしまった。そこでここからは私と友人の2人で街を散策。友人は様々な場所に連れていってくれた。まずは中心街から川の上流へ。
中心街
中心街近く
川の上流の方
川の上流の方には小さなお土産物屋が並んでおり、友人は記念にということでマグネットを買ってくれた。そう、ヨーロッパではご当地マグネットがポピュラーなお土産なのである。次は街で最も有名なモスクへ。ここのモスクの壁面には綺麗な花の絵が描かれている。
モスクの水場
モスク壁面
モスク入口
そこからしばらく坂を上っていくと、城壁がある。その城壁から街の景色を楽しんでいた矢先、突然通り雨が降り出した。というわけで、スグに撤収し、城壁の真ん前にあるカフェで雨宿りすることにした。カフェではドバイぶりの甘いものを摂取するため、オシャレスタイルなバクラバとオランジーナを摂取した。ものすごく甘く、ヘビーだったが、非常に美味しかった。
城壁
大砲
城壁への道
城壁から見る街
オシャレスタイルバクラバとオランジーナ
雨が止んだので、次の場所に向かった。次の場所はイヴォ・アンドリッチ博物館。日本ではあまり有名ではないのだが、イヴォ・アンドリッチというノーベル文学賞受賞者がこのトラヴニク出身だったため、彼の自宅を改装した博物館がここにはある。イヴォ・アンドリッチの遺品だけでなく、ボスニアの伝統的な住宅というものに触れられる、とても落ち着いた場所であった。いや、そうではなかったのかもしれない。というのも、この博物館は一部改装中であり、工事のための騒音が常に鳴り響いていたからである。いずれにせよ、非常に興味深い場所であったことは間違いない。
イヴォ・アンドリッチの部屋
日本語版の彼の本
直筆
古いヒーターらしい
イヴォ・アンドリッチ博物館の後は、友人がかつて通っていた学校や街の教会を訪れ、ついにこの街最大の名物にたどり着いた。そう、それは絶品チェバプチッチ(以降チェバピ)である。この街はボスニアにおいてはチェバピで有名らしく、非常に美味しい店があるのだという。当たり前のようにチェバピと飲むヨーグルトのセットを注文。もうもはやボスニア人である。朝から大量に食べたので、満腹だったのだが、それでもまだ詰め込む。そしてこの経験がイランで生きてくるのだが、まだそれは後の話.....。ここのチェバピはパンの生地が違う。普通は薄いのに対して、ここのチェバピの生地は厚くてモチモチである。また、ソースとしてニンニクとクリームチーズを混ぜたものが別皿で出される。見た目は完全にバニラアイスなのだが、しっかりニンニク臭がした。ここのチェバピは噂通り、とても美味しく、満腹ながらも胃にぶち込むことが出来た。
街の教会
友人がかつて通っていた高校
絶品チェバピ
チェバピを食べ終わると、まさかのサプライズ。会計時に、支払いをしてくれただけでなく、帰ってから食べる用にお持ち帰りチェバピを買ってくれたのである。本当に感謝しかない。更にサプライズは続く。店を出て、しばらくしたところにはスイーツショップが。そこでまさかのお持ち帰りでスイーツを購入してくれたのである。あの人は神だ。本当にボスニアという国の人々の懐の深さには頭が下がるばかりである。
糖尿病まっしぐらなスイーツ達(幸せ)
さらにさらに、帰りのバスチケットまで購入してくれたのだ。テレビショッピング並のサービスの付け方である。結局この日、私はさんざん楽しんだにもかかわらず、払った金額はゼロ円。みなに世話になりっぱなしの一日であった。次の日、サラエヴォに帰った私が訪れた場所とは.....
次回、サラエヴォでお勉強
to be continued......