華麗なる海外逃亡記

1年半、41ヶ国にも及ぶ(現在進行形)、自分のバックパッカーとしての記録を記した雑記です。

第22話 疲労 ~衝撃的な山登りと衝撃的な寝床~

街の散策に出かけることにした私は、まず入り口の脇にある壁に登ってみることにした。あまり高くはないものの、しっかりと城壁の外を見渡せる。ここは狭く、7月のコトルはゴリゴリのオンシーズンだったので、非常に混むはずだったのだが、当時は新型コロナウ…

第21話 中世 ~踊るコトルと求む5ドル~

長期間沈没していたサラエヴォを後にした私は、バスに乗りこみ、モンテネグロで最も人気なリゾート、コトルに向かった。バスに乗っている間は寝ることもあれば、ひたすらに外の景色を見てボーっとすることもある。そうして外の景色を見ていると、面白いもの…

第20話 宴会 ~長い沈没生活との別れ~

モスタルへの日帰り旅行を終え、遂にボスニア・ヘルツェゴビナでの目的を全て果たした私は、最後の数日間を過ごすこととなった。まずは、オクタイ(サラエヴォ在住イラン人の友人)との約束を果たすため、サラエヴォにある日本食料理店に行くことになった。彼…

第19話 歓喜 ~沈没の終焉と旅の再開~

サラエヴォですっかり沈没しきっていた私は、何もしないのではつまらないので、サラエヴォ市内の博物館や美術館を回ることにした。まずは、ラテン橋の近くにある第1次世界大戦関連の博物館。ここには第1次世界大戦時の様々な物があったのだが、意外と暗い雰…

第18話 過食 ~隠れた観光名所~

その日、家主のエディンは朝に時間を作ってくれた。彼はアパートまで私を迎えに来てくれた。そう、彼は私が友人に会うためにトラヴニクに行きたいと言うと、連れて行ってくれると申し出てくれたのだ。古い小型のプジョーに乗った私は、しばらく車に揺られな…

第17話 爆音 ~酒に溺れなすぎる漢~

サラエヴォに滞在中、出会ったのはモロッコ人達だけではない。まずはトルコから来た若者3人。彼らとはトルココーヒーを飲んだだけなのでここでは特に話すことは無い。次にカウチサーフィンのハングアウトで会った3人。それぞれボスニア人女性、アメリカ人女…

第16話 貴重 ~静かなる美声~

その日もまた例の3人のモロッコ人と共に時間を過ごしていた。まずは、中心街から少し離れた場所にある、落ち着いたカフェで彼らと合流した。私は因縁のトルココーヒーではなく、大人しくエスプレッソを嗜んだ。しかし、エスプレッソというものは、シルバニア…

第15話 神秘 ~ボスニアでの様々な人との出会い~

サラエヴォでの観光を一通り終えた私は、暇を持て余すはずであった。というのも、私は極めてせっかちなので、本来であればすぐさま次の街へ移るというのが私のすることなのであるが、当時の私には2つの行きたい街があった。ひとつが友人の住む街、トラヴニク…

第14話 沈没 ~サラエヴォでの長い日々の始まり~

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエヴォでの観光を始めた私は、まず宿の目の前にある川沿いをラテン橋まで歩くことにした。その日は天気も良く、初めてのヨーロッパの街並みの中、美しい川沿いを歩いた。サラエヴォは面白い街であり、ヨーロピアンな街…

第13話 衝撃 ~新たなる地での旅の始まり~

ドバイのLCCであるフライドバイのフライトに搭乗した私は、離陸してすぐに面白い形の島を見つけた。綺麗な三日月形の島である。また、ドバイの上空からですらブルジュ・ハリファは見ることが出来た。 三日月形の島 フライドバイの機内食 しかし、そんな折に…

第12話 飛翔 ~さらばドバイ、次の地へ~

実質的にドバイでの最終日を迎えた私は、まずは次の日のフライトに備えてPCR検査を受けに滞在していた場所にほど近いエミレーツモールというショッピングモールに行くことに。予約時に様々な登録などが必要だったのだが、そのせいで今でもたまにそのアドレス…

第11話 夜景 ~世界最大のビルから望む都会~

その日の私は、夜にブルジュ・ハリファへの登頂(大袈裟)とドバイ・ファウンテンでの水上ウォークを控えていたものの、日中にはジュメイラモスクという、ドバイで最も美しいと言われるモスクに行く以外に予定がなかった。そこで、昼まで寝てからジュメイラモ…

第10話 巨大 ~新たなる友人との出会い~

ホステルでのチェックアウトを済ませた私は、その日からしばらく泊めてもらうことになっていたホストの家に到着した。彼の家はエミレーツモールという巨大ショッピングモール近くのマンションの9階の一室にあった。彼の名はライド。ヨルダン出身ながら、長ら…

第9話 平和 ~ドバイのホスピタリティ~

ホステルでの支払いを終えた私は、正直少しだけ不安であった。というのも、バックパッカー経験が無かったことから、旅行で宿泊=ホテルであったので、ホステルという何人もの人との共同部屋がストレスになると感じていたのである。そのホステルの経営をして…

第8話 危機 ~大事件発生~

再び宿探し難民となった私は、前日のようにカウチサーフィンで乱れ打ちをしつつ、観光をしながら待つことにした。まずはシャルジャからタクシーでパームジュメイラへ。アンディと行けなかったパームジュメイラのビーチに行くため、タクシーの運転手にパーム…

第7話 狂人 ~過酷な宿探し~

3日目の朝を迎えた私は、早速観光とともに、重要な任務を遂行するために、オールドドバイに向かった。オールドドバイには、アラビアンな雰囲気の建物や、スークと呼ばれる中東の市場がある。ここで、私の重要な任務についてだが、これは極めてクレイジーなア…

第6話 迷走 ~アンディとの別れ~

ドバイ中心街から人工島、パームジュメイラに渡るため、私とアンディは電車を乗り継いだ。パームジュメイラの綺麗さとリッチさを知るには、上空から見下ろす他ないのだが、この人工島はその名の通りヤシの木の形をした島であり、そこにはウォーターパークや…

第5話 旅人 ~忘れ物の代償~

2日目の朝を迎えた私は、その日もアンディと散策を進めるべく、とある駅にて彼と合流した。とある駅というのは、数あるドバイで有名なショッピングモールの中で、私が最も行きたかった場所の前にある駅である。そのショッピングモールとは、イブン・バットゥ…

第4話 野生 ~まだ見ぬ食事と作法~

夕方頃にアンディと別れ、ドバイモールをあとにした私が向かったのは、ブルジュ・ハリファである。ブルジュ・ハリファとは面白い建物なもので、どこからでも(飛行機からでさえも)見えるような建物なのだが、そこに到達することは容易ではない。実際に、アン…

第3話 金満 ~巨大モールに潜む悪夢~

世界一の巨大ショッピングモール、ドバイモールに到着した私とアンディは、とりあえず探索を始めたのだが、この時私はまだSIMカード問題と格闘していた。そして、アンディと共にドバイモールを物色しながら、GoogleでSIMカードについて調べるという圧倒的マ…

第2話 大物 ~第1村人発見~

ドバイ国際空港に降り立った私に話しかけてきたその男は日本人であった。今となっては、旅の途中に日本人を見ると、旅をしている感が薄れるため、私は露骨にテンションを落とすのだが、当時は初めての孤独の海外旅行ということもあって、日本人と話せること…

第1話 逃亡 ~別世界との遭遇~

その日、初めての成田空港に降り立った私は10年振りの海外旅行という名の現実からの「逃避行動」に胸を踊らせていた。当時の私にとって、海外経験と呼べるようなものは9歳の時に家族旅行で1週間滞在したグアムでの思い出だけであった。そこでの経験が、英語…

第0話 明暗 ~プロローグ~

今、私は途方に暮れている。全ての始まりは1年半前。振り返れば、何でもない日常の出来事であったのだが、あれから自分の人生は良くか悪くか大きく変わってしまったのである。 2021年4月末の某日。その日、私は都内の某有名コーヒーチェーン店の面接に落ちた…