華麗なる海外逃亡記

1年半、41ヶ国にも及ぶ(現在進行形)、自分のバックパッカーとしての記録を記した雑記です。

第8話 危機 ~大事件発生~

 再び宿探し難民となった私は、前日のようにカウチサーフィンで乱れ打ちをしつつ、観光をしながら待つことにした。まずはシャルジャからタクシーでパームジュメイラへ。アンディと行けなかったパームジュメイラのビーチに行くため、タクシーの運転手にパームジュメイラのビーチとだけ伝え、乗車。着いた先には高級車ばかりが止まっている圧倒的な金持ちビーチがあった。そこで私は嫌な予感がしつつも、タクシーから下車し、ビーチの入り口まで歩いた。そこで入り口にいた男に呼び止められ、そこが予約制のビーチであるということを知らされた。そう、私の悪い予感は的中したのだ。あのタクシードライバー、マジで呪う。仕方なく、そこでパームジュメイラにある別のビーチを聞いてみることにした。すると、その入り口の男はひとつのビーチを私に勧めた。そこには電車がなかったので、別のタクシードライバーを拾い、勧められたビーチに向かった。着いた先はこれまたリッチな雰囲気漂うビーチ。しかしもちろん、予約制のビーチの入り口にいた男に聞いたわけなので、予約制なわけがない。そう、完全に私はパームジュメイラのビーチにてくつろぐ自分を想像していた。ビーチの入口のサングラスを着けた男の前を颯爽と通り過ぎようとした矢先、私はその男に呼び止められた。「お前、歳はいくつだ?」彼は言った。私は当時、19歳だったので、年齢を告げると、彼は私を追い出した。そう、そこは20歳以上限定のビーチだったのだ。あと数ヶ月の差すら許さないその男を私は許さない。

 

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世界屈指の超高級5つ星(7つ星)ホテルブルジュ・アル・アラブ


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パームジュメイラのプール施設

 

 もうこうなったら後には引けないので、パームジュメイラではなくともビーチに行かねば気が済まない。そう思った私は、これが最後とばかりにタクシーに乗り込み、本土にあるJBR(ジュメイラ・ビーチ・リゾート)という場所のビーチに行くことにした。泳げないのにもかかわらず、必死にビーチを探したのは、おそらく海無し県出身の性だったのだろう。ドバイの海はあまり綺麗ではない海だったが、気温のせいで(おかげで)水の温度は温水プールであった。そんなビーチで河童(私)が水に流されるのを楽しんでいると、一人の男が話しかけてきた。彼はガーナ出身らしく、とにかくフレンドリーだった。特に何か意味のある会話をしたわけではないが、その場で連絡先を交換&写真撮影し、私はビーチを去った。後日談としては、彼はたまに連絡してきては、私に何かいいビジネスはないかと尋ねてくる。世の中には、お金が絡むと必死にならざるを得ない人々がいるのは理解出来るのだが、それでもやはりいい気持ちはしないのである。

 

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ビーチの姉ちゃんを盗撮(クソ)

 

 ビーチを後にした私は、未だにカウチサーフィンでのいい返事を受けられていなかったということもあり、やはり恒例となったス○ーバッ○スで待ちぼうけることしにた。日が落ちてもホストが見つからなかったので、仕方なく私は2泊3日で格安のホステル(当時最も安かったホステル)を予約することにした。そのホステルは偶然にも、JBRにあったので、そこまで歩くことにした。JBRはドバイのナイトスポットかつリッチスポットであり、日本でプリウスを見るよりもハイペースでランボルギーニフェラーリなどといった超高級車を見掛けるような場所である。

 

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JBRの様子


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JBRの様子その2

 

ホステルに向かっていると、カウチサーフィンより通知が。ホストが見つかったのかと思い確認すると、そうではなくハングアウトのお誘いだった。カウチサーフィンには、ハングアウトという機能があり、ハングアウトONになっている近くのユーザーにリクエストを送り、成立すれば合流して何かをすることが出来るのである。ドバイに住むアレクサンドリア出身のエジプト人の若い男からリクエストが届いたので、ホステルに向かう以外にする事が無かった私は、試しに会ってみることにした。彼の名はホッサム。かつて京都大学で留学経験のあるエンジニアだった。彼と合流した私は、とりあえずホステルに荷物を置きに行きたいと申し出、彼は承諾した。彼と共にホステルに向かったのだが、このホステルは非常に分かりずらい場所にあり、行き着くだけで難易度がかなり高かった。そこでホッサムはそのホステルに連絡してくれ、私達はとある高層マンションの一室にホステルがあるということを知った。そして、部屋に着いた私は、荷物を置き、チェックインをすることに。しかし、そのホステルは、現金払いのみ受け付けていることを知らされたのである。ぼったくりボートのせいで、ほとんど現金を持っていなかった私は、ATMまで現金を引き出しに行くことにした。私とホッサムは再びJBRの中心地へ繰り出し、ATMマシンを探すことに。すると、すぐさまATMマシンは見つかった。ATMマシンが3台並んで屋内に設置されており、入り口には警備員がいたので、信用出来るATMだと確信した。しかしここで、大事件が発生した。当時の私は、自分のクレジットカードで海外ATMから現金引き出しが出来ないということを知らなかったため、ATMで自分のクレジットカードが拒否されたことで焦ってしまった。そこで、何度かクレジットカードをATMに差し込み直していたところ、クレジットカードがATMに吸い込まれたまま、返ってこなくなってしまったのである。一応2枚のクレジットカードを持っていたものの、焦りに焦った私は、ことの次第を外で待っていたホッサムに報告。ATMの会社に電話するも、私はクレジットカード番号が分からなかったので、結局クレジットカードは戻ってこなかった。すぐさま私はクレジットカード会社に電話し、吸い込まれたクレジットカードを停止させた。私は慌てふためき、落ち込むことしか出来なかった。そんな私にホッサムは親切にも、とある提案をしてくれた。私のもう1枚のクレジットカードでホッサムがホステルの代金分の買い物をして、彼ががホステルの現金払いを代わりにしてくれるという案である。ただ、ホッサムにも現金の手持ちがなかったため、彼は現金を持って来るように彼の友人にお願いしてくれた。少し待つと、彼の友人は到着し、私達は3人でまずは腹ごしらえをすることに。私達はレストランで、シャワルマと呼ばれる、トルティーヤのような生地で具材を挟んだ中東のサンドイッチを注文した。このシャワルマ、日本ではケバブ屋で使用されているのが有名なのだが、ホッサムが注文したものは凄く特殊なシャワルマであった。というのも、そのシャワルマには、チョコレートとバナナが挟まれていたのである。彼に促され、少し食べたところ、それはそれで美味しかったのだが、不思議な感覚がした。昔、心斎橋の唐揚げ屋で食べたチョコレートをディップする唐揚げと同じ感覚だった。私が頼んだシャワルマは、野菜と肉が挟まれた、いわゆる普通のシャワルマだったので、想像の範疇の可もなく不可もなくな味であった。


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普通のシャワルマ(左)とチョコバナナシャワルマ(右)

 

 腹ごしらえを終えた私達は、ホッサムの買い物のため、スーパーに向かった。スーパーでホステルの代金分の買い物を済ませ、そこで私がもう1枚のクレジットカードで支払いを済ませた。すると約束通り、ホッサムは私に現金を手渡した。その後、ホッサムと彼の友人は帰宅するとの事だったので、私は彼らに礼を言って別れ、ホステルに戻り、ホッサムから受けとった現金で支払いを済ませた。人生初のホステルに宿泊した私を待っていたものとは.......

 

次回、国際色豊かな出会い

                                                      to be continued.......

第7話 狂人 ~過酷な宿探し~

 3日目の朝を迎えた私は、早速観光とともに、重要な任務を遂行するために、オールドドバイに向かった。オールドドバイには、アラビアンな雰囲気の建物や、スークと呼ばれる中東の市場がある。ここで、私の重要な任務についてだが、これは極めてクレイジーなアイデアであり、私自身今考えても絶対にやりたくない、そういった類の愚行であった。旅に出る前に、ドバイの人は全く知らない人物がいきなり訪ねてきたとしても、3日間は何も言わずにもてなしてくれるという動画を見てしまっており、これに惑わされた私は、ホテルを2泊3日分しか取らずに旅に出ていたのだ。そして、オールドドバイのように、伝統的な暮らしをしている場所に行けば、何かしら泊めてくれる人がいるのではないかという甘い考えを当時の私は持っていた。そして、電車に乗り、オールドドバイに近づいてくると、とある地区を見つけた。そこには伝統的に見える建物が多くあり、私はその地区には伝統的生活を送る人達が多くいると思い、その近くの駅で慌てて下車し、宿を探索することにした。駅からでた私は、まさかの事態に直面した。思いの外、住宅と呼べるような場所が少ないのである。そして、住宅を見つけたとしても、超がつくほどの豪邸ばかりであり、とても宿泊交渉にいけるような家は無かったのである。とはいえ、灼熱の真夏のドバイにて野宿を断行するには、バックパッカーとしての経験が足りなかった私は(今なら余裕で出来るが)、勇気を出して大豪邸にて交渉をすることにした。しかし、多くの家のインターフォンを押すも、そもそも不在の場所が多かった。不在出なかった場所でも、ただひたすら断られ続けた。そこで私は、薄々動画の内容が極めて誇張を含んだものであったことに気づいてきた(アホ)。しかし私は諦めず、乞食魂を燃やし続け、根気強く宿探しを続けた。そしてとある豪邸にて、最悪の事実を知ることになった。その豪邸でインターフォンを押すと、若い女性が出てきた。彼女は私に用を尋ねたので、私は宿を探している旨を伝えると、家の奥に入っていった。ここで私の期待値は最高潮に達した。そして数分後に、奥からご夫人が出てきた。彼女にも宿を探している旨を伝えると、残酷ながらも断られ、私の期待はカバンの中で放置したポテチのごとく粉々になった。しかし、彼女は有力な情報を私に与えた。彼女曰く、その地域は金持ちの外国人用の別荘地であり、その時期には多くの家主がそこには居ないとのことだった。

 

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伝統的建物が多いように見せかけた地区の入口


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ピンポン交渉しまくった豪邸の1つ(盗撮失礼)

 

 私はすぐさまその場を去り、歩いてオールドドバイまで向かったのだが、ここで事件が起こる。徒歩で1時間かかる距離なのだが、当時の私は節約の必要性から、乞食魂が最高潮まで達しており、電車やタクシーを使わずに、45度の灼熱の中、歩いてオールドドバイまで行くことにした。私には勝算があった。ドバイのバス停はドア付きで冷房が効いているものも多く、そこで効果的に休憩を取りながら行けば、無事オールドドバイまでたどり着ける算段だったのだ。また、キツくなればカフェやレストランで休めばいいと高を括っていたのだ。そこで歩き始めて30分ほどで、重い荷物も相まって、ついに疲労と暑さが限界まで達した。そこで、バス停を探すと、ちょうど目の前にバス停があった。そこで、バス停に入ったのだが、何かがおかしい。そう、そのバス停には冷房がついておらず、ただのサウナと化していたのである。すぐさま脱出し、歩き続けたのだが、残りの30分ほどをどう凌ぐかを考えると、非常に厳しかった。そこで、節約のためにレストランかカフェで休むことを考えたのだが、そんな時に限って見つからないのである。結局、本当に死にそうになりながら、オールドドバイまで歩き、到着する頃にはスッカリ熱中症になってしまったのである。急いでオールドドバイにあったビリヤニ屋に入り、ビリヤニを注文した。そこには美味しくない硬すぎる生の人参や私の大嫌いな生のきゅうり(中学生の時に河童と呼ばれてたくせにきゅうり嫌い)が添えられており、またビリヤニその物もあまり美味しくなく、特にマトン(羊肉)は獣臭さが酷く、完食したものの、熱中症による食欲不振も相まって、非常にキツかった。飲み物に関しては、何故か日本が恋しくなっていたので、とりあえずgreen teaの文字を見つけた私は、それを注文することに。しかしこれはインディアングリーンティーで、日本の静岡や京都のいわゆる緑茶とは大きく異なる風味を持っており、全くもって祖国のノスタルジーを感じることが出来なかった。

 

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期待外れのグリーンティー

 

 そんなこんなで少しだけ元気になった私は、オールドドバイで観光&宿探しをすることに。しかし、オールドドバイには家なんてものはなく、そこでの宿探しを諦め、観光に従事することにした。とりあえずオールドドバイ一体を回るために川の対岸にあるスークを目ざした。そこで、川を渡るためのボートを探したのだが、情報不足&バックパッカー経験不足が露呈した結果、私は間違えて観光用の30分間のボートハイヤーサービスに乗ってしまい、気づいた時にはもう遅かった。そこで先に値段交渉で価格を決定。変な親父に乗っけられ、宿探しの時間がない中、30分間ボートの旅へ。川から見たオールドドバイは都会のドバイを忘れられる景色で溢れており、アラビアンな伝統的建築が多く見られた。そして調子に乗った私はサングラスを着けて写真撮影(伏線です)。気持ちの良い風に吹かれて30分後、事件が発生。そろそろ岸に戻るということになって、親父が代金を要求してきたのだが、これが最初に交渉した金額よりも少し高いのだ。私は抗議したものの、そこは川の上。私はタダでさえ全く泳げない(河童の川流れが常に起こるというよく分からん状態)のにも関わらず、そこには重いリュックとキャリーバッグがあり、どう考えても自力で岸に戻れる状況ではなかった。言う通りに支払うしかなく、初の1人海外旅行にして軽くぼったくられる体験をした。そう、キャッシュ不足の私にとってはこれは大ダメージで、この時にほぼ全てのキャッシュを失った。この体験から学んだ私は、以後全てを先払いして、最悪の場合はできる限り暴力で解決するというバックパッカーには必須の知識を身につけたのである。力こそパワー(黙れ)。

 

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オールドドバイの入り口


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オールドドバイのペルシャ式モスク


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川から見たオールドドバイ

 

 岸に戻った私は、とりあえずスークに行ったのだが、コロナ禍ということもあってか、本当に活気のない場所であった。ガッカリした私は、宿について考えようと、カフェを探しに、大きめのショッピングモールへ向かうため、オールドドバイをあとにすることにした。しかしここで問題が発生。あの調子に乗って着けていたサングラスをどこかに落として失くしてしまったのである(伏線回収)。来た道をもどり、置いているコインを探す乞食のように(いつも通り)、サングラスを探した。また、聞き込みもしたのだが、結局見つからず、その場をあとにした。そして、大きめのショッピングモールに電車で向かい、例の大手コーヒーチェーン店、ス○ーバッ○スに入った。そこでその日の宿について考えてみた。そこでやっと、急に話しかけてホストを見つけるのは無理があると気づいた私は、ついに最終手段に出た。そしてこの最終手段が後の私の旅を大きく(良い意味で)変えることとなった。私は渡航前から、最悪の場合はカウチサーフィンというアプリを使って、無料で泊めてくれるホストを探そうということを決めていた。すぐさまアプリをインストールし、年会費10ドル程度を払った私は、ドバイのホストにリクエストを手当り次第に送り付け、返答を待った。本来であれば、レビューを持っていない、作り立てのアカウントではホストを見つけるのは困難なのだが、ここで運がいい私は何時間も待った末、とあるホストから許可を得ることが出来た。エジプト出身のモハメドさんという50代の男性だった。しかし彼の住む場所はドバイではなく、UAEを構成する他の首長国の1つ、シャルジャという場所にあった。時間がもう遅かったこともあり、仕方なくすぐさまタクシーでそこに向かった私は、迷いながらもギリギリ深夜0時前に彼のマンションに辿り着いた。14階にある部屋に入った私は、荷物置き、彼にただひたすら感謝をし、彼と軽く会話を交わした。ソファーを自由に使っていいと言われたので、すぐに眠りについた。そして次の日は前日の疲れからか、一日中寝転んで怠惰な一日を過ごした。夜ご飯は初めてのアラブ料理。モハメドさんがフードデリバリーサービスで注文してくれ、奢ってくれたのだ。乞食は心から喜んだ。その料理は、米とミンチ、グリンピースに煮込んだ茄子、そしてそれにヨーグルトがかかった料理。極めて中東らしいものだった。メインディッシュにヨーグルトがかかった料理を初めて食した私は、恐る恐る食べてみたのだが、これが非常に美味しかった。

 

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14階の豪華な部屋から見たシャルジャの夜景


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昼バージョン

 

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人生初のアラブ料理

 

 次の日、モハメドさんは忙しいことから、私をホスト出来ないということになり、私は新たな宿を探すこととなったので、1度ドバイに戻ることにした。2度目の宿探し難民となった私を待ち受けていたものとは......

 

次回、圧倒的ピンチ

                                                      to be continued......

 

第6話 迷走 ~アンディとの別れ~

 ドバイ中心街から人工島、パームジュメイラに渡るため、私とアンディは電車を乗り継いだ。パームジュメイラの綺麗さとリッチさを知るには、上空から見下ろす他ないのだが、この人工島はその名の通りヤシの木の形をした島であり、そこにはウォーターパークやショッピングモールといった一般人も入ることが出来るエリアだけでなく、その島の住人や宿泊者しか入ることの出来ないプライベートエリアも沢山あり、世界中からリッチな方々が集まるという場所なのである。つまり、ハイスペニキことアンディはともかく、極東の島国の鹿と大仏の県産の乞食である私は行くことすらはばかられる場所なのである(もちろん図々しい私は極東乞食魂を見せつけに行ったのだが)。パームジュメイラに向かうまでの電車は、それその物が観光対象となるほどに美しい景色を楽しめるものであった。というのも、海の上を走るため、海が両側に見えるのと、有名なリッチホテルであるアトランティス・ザ・パームが綺麗に見えるのである。

 

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上空から見たパームジュメイラ

 

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世界の車窓から(パームジュメイラ編)


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アトランティス・ザ・パーム

 

 私達が到着したのは、ヤシの木の幹の下の部分である。ここでは、もはやドバイではコンビニよりも多い(大嘘)巨大ショッピングモールと遊歩道が私達を出迎えた。ショッピングモールに完全に飽ききっていた私とアンディは華麗なスルーをかまし、すぐさま遊歩道を歩きに向かった。というのも、私達は夕焼け頃にパームジュメイラのビーチに行きたかったのである。そして、遊歩道を歩く私達の周りには、ランニングを楽しむ人々、優雅に練り歩くブルジョワご老人などなど、様々な人が各々の時を過ごす姿があった。そうして長い遊歩道を歩く私達は遂に、遊歩道の終わりに来たのだが、ここでまさかの事態が発生した。というのも、自動車専用道路に合流してしまったのである。道を探しては見たものの、それ以外には行けそうな場所もなく、Googleマップもあてにならない有り様であった。途方に暮れた私達は、お互い相手が漢(おとこ)ということもあり、ロマンチックな雰囲気を望めなかったため、来た道を引き返し、特に何もすることもなく、ただただブルジョワご老人を眺めただけでパームジュメイラを後にした。その頃には日没となっており、帰りの電車からもパームジュメイラの綺麗な夜景が見られたのだが、私のiPhone8plusでは力不足であり、綺麗に撮影出来なかった。そして本土に戻り、中心街への電車に乗り換える際には、ドバイの学校を発見した。やはりドバイは学校すらリッチな仕様であり、奈良県の中でも財政状況が下から数えた方が速いぐらいのとある市にある公立の小中学校出身の私は、最初はそれが学校とすら気づかず、ただの政府系の建物だと思っていたのだ。

 

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パームジュメイラの遊歩道


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ドバイのリッチな学校(嫉妬からか写真がテキトー)

 

 ドバイ中心街に戻ってきた私達は、最後の晩餐をしようと、ディナーに良い場所を探すことにした。最後の晩餐というのも、アンディがドバイに来た理由は、観光というよりも、むしろ仕事がメインだったようで、その次の日からはそちらに時間を取られてしまい、乞食に付き合っている暇は無かったのである。私も私でとあるクレイジーなことをする必要があったので、それにアンディを巻き込むわけにはいかなかったのだが、その話については次回に回すとしよう。しかし、なかなかいい場所が見つからず(そもそもその地区にはレストランが少なかった)、結局なんとか見つけることが出来たピザ屋で最後の晩餐を楽しむことにした。シンプルなピザと非常に体に悪そうなミルクシェイクという、極めてアメリカンな最後の晩餐をチョイスした。ピザに関しては形が歪なものの、味は極めて普通であったのだが、ミルクシェイクは異様に美味しかったこともあり、ピザが来る前にほとんどミルクシェイクは無くなってしまったほどである(ペース配分を考えられないアホ)。

 

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低脳未熟を露呈させられたミルクシェイク


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形が歪で味は普通なピザ

 

 食事を終えると、アンディはホテルに戻るということだったので、私達はお互いの宿に戻ることにした。そしてアンディと私は、また地球上のどこかで会う約束をしてその場をあとにした。後日談としては、この別れから半年後にアンディから連絡があり、その内容は、彼が近々東京に来るということで、その際に久しぶりに合わないか、というお誘いだったのだ。しかし私はその時日本におらず、無礼ながらも、乞食ごときがハイスペニキのお誘いを丁重にお断りせざるを得なかったのである。そしてそれ以来、特に何の連絡もなく、未だに再会を果たせていないのだが、いつの日か再会は叶うのであろうか....。いずれにせよ、ホテルに戻った私は、特にすることもなく、すぐさま調整が難しいシャワーを浴びて、眠りについた。そうして迎えた3日目、私はとあるクレイジーなことをすることになるのだが......

 

次回、クレイジー超特盛

                                                                        to be continued.....

 

 

第5話 旅人 ~忘れ物の代償~

 2日目の朝を迎えた私は、その日もアンディと散策を進めるべく、とある駅にて彼と合流した。とある駅というのは、数あるドバイで有名なショッピングモールの中で、私が最も行きたかった場所の前にある駅である。そのショッピングモールとは、イブン・バットゥータモールと呼ばれる場所である。世界史を齧った方なら知っているかもしれないが、イブン・バットゥータとは、14世紀に世界中を旅した、イスラム世界出身の旅人であり、彼が遺した日記は貴重な歴史資料のひとつである。そう、バックパッカーの大先輩であり、ブロガーの先祖みたいな人物なのである。つまり、私は実質現代に生きるイブン・バットゥータなのだ(違う)。

 

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イブン・バットゥータが旅したルート

 

そんなイブン・バットゥータが旅した様々な場所(チュニジア、エジプト、ペルシア、インド、アンダルシア、中国)がエリアごとに分けられて、再現されているのが、イブン・バットゥータモールなのである。まさにドバイのリッチさとエンターテインメント性の現れである。そして、ここには私の因縁の相手、そしてもはやこのブログにおいて準レギュラーとなりつつある、あの某コーヒーチェーン店がある。しかも、ただのス○ーバッ○スではない。世界一美しいと言われているス○ーバッ○スがこのモールのペルシアエリアにあるのだ。その世界観に惹かれ、バックパッカーの私はドバイでどうしても行きたかった場所のひとつとして、このショッピングモールをピックアップした。

 合流してショッピングモールに入った私とアンディを迎えたのは、いきなりのペルシアエリアであった。ペルシア風モスク独特の青いタイルによる装飾を施されたドームがいくつもあり、そのようなエリアを進むと、そこには圧倒的にド派手な空間が広がった。そして、目を向けると「Starbucks」の文字が。トラウマを振り切りつつ、せっかくだからということで、世界一美しいス○バで飲み物を注文することにした。いちご好きの私には有難いことに、レギュラーメニューでいちごのスムージーがあったので、迷いなくそれをオーダーした。ただ、このスムージーは味が薄く、またいちごの種が非常に硬く、大量に入っていたため、決して美味しいものではなかった。

 

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ペルシアエリアの一角

 

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世界一美しいス○ーバッ○ス


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あまり美味しくなかったいちごスムージー

 

 ペルシアエリアをあとにした私とアンディを次に待っていたのは、アンダルシアエリアである。いかにも南国な木々が立ち並ぶ中、とある家電量販店があり、私は重大なことを思い出した。当時私は、オンライン授業を受けるために、ラップトップを持って旅をしていたのだが、まさかの充電器を日本に置いてくるという圧倒的ヘマをしでかしたのである。それを思い出した私は、すぐさま家電量販店にてMacBook用の充電器を購入した。ここで約8000円が飛んでいったのだが、これは当時の私には重大な問題であった。というのも、旅を舐めていたのと、現実を知らなかった私は、現金を1万円分ほどしか持っていかなかったのである。さらに悪いことに、私のクレジットカードにはキャッシング枠がないため、ATMでの現金引き出しが出来ないのだ。また、当時の私はそんなことも知らず、さらにドバイの人はホスピタリティが凄いので、お金を払わずともレストランで食事を出来ることがあるのではないかなどという訳の分からない幻想を抱いていた。もう私の無知さのライフはゼロよーと言いたいところなのだが、おまけにリサーチ不足で物価感も知らずに、ローカルショップを選べば、割と安くなんでも手に入るなどと勘違いをしていた。故に、現金の大半を失ったことで、圧倒的ピンチに追い込まれたのだが、私はこの時まだ数日後に起きる悲劇を知らなかった。それはまた後日、記述する。

 

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アンダルシアエリア

 

 ともあれ、次のエリアに進んだ私達を待っていたのは、エジプトエリアである。個人的にとても楽しみにしていたエリアだったので、期待値は高かったのだが、そのエリアは非常に小さかった。もちろんエジプトの世界観をある程度は楽しめたのだが、本当に小さかった。どれぐらい小さかったかというと、私が東京で住んでいる激狭ワンルームアパートぐらい狭かった。いや、それは誇張が過ぎた。

 

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自宅を思わせる激狭エジプトエリア

 

 次に進んだ私達を待っていたのは、チュニジアエリアだった。非常に明るい空が天井いっぱいに描かれており、屋外にいるように感じつつも、屋内にいるような気もする、非常に不思議な感覚に陥るエリアだったのだが、個人的には嫌いではなかった。

 

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不思議な感覚に陥るチュニジアエリア

 

 テンションが謎なアンディを引き連れて進むと、私たちはインドエリアに行き着いた。インドエリアには、ただドデカいインド象の置物があったのだが、それ以外は特には何も無かった。おそらく最も地味なエリアなのである。

 

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インドエリアで唯一アイコニックな像

 

 最後に私達を待っていたのは、中国エリアである。このエリアはペルシアエリアに勝るとも劣らないほど派手なエリアであり、ショッピングモールに存在する理由が圧倒的に不明な巨大な中国船やカンフーパンダの置物など、中国を思わせる様々な物が入り交じっていた。また、やはりというか、エリア内は赤基調の塗装で埋め尽くされており、非常に人のテンションを狂わせるのか、基本的にクールなアンディが、私が動画を撮影している時に、不意に謎のテンションでピースをしながら映り込んできた。中国エリア、恐るべし。そして何故か、アンディはカンフーパンダの名前(ポー)を知っており、理由を聞くと、彼はカンフーパンダが好きだと言った。彼は本当に謎である。

 

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テンションを狂わせる魔の中国エリア


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ショッピングモールに置く必要性を感じない巨大船


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アンディのお気に入り、カンフーパンダの置物

 

そんなこんなでこの巨大ショッピングモールの探索を終えた私達は、まだ時間も浅かったため、パームジュメイラという人工島に向かうことにした。セレブが集まる人工島で私たちが見たものとは......

 

次回、10回言えば肘が膝になる食べ物

                                                     to be continued......

 

 

 

 

第4話 野生 ~まだ見ぬ食事と作法~

 夕方頃にアンディと別れ、ドバイモールをあとにした私が向かったのは、ブルジュ・ハリファである。ブルジュ・ハリファとは面白い建物なもので、どこからでも(飛行機からでさえも)見えるような建物なのだが、そこに到達することは容易ではない。実際に、アンディとドバイモールを散策していた時に、すぐそこに見えるから行ってみようとなったのだが、駐車場や自動車専用道路、高級ホテルなどに阻まれて、断念したのである。1人になった私は、Googleマップという文明の利器を使い、ブルジュ・ハリファへの接近を試みた。しかし、ここには落とし穴があったのだ。というのも、ブルジュ・ハリファに観光客が登る際(要予約)の入口は、ドバイモールの地下にあり、Googleマップで案内される入口は、あくまでも住人用の入口なのである。そう、ブルジュ・ハリファには実際に資本主義社会の勝者達が住み着いているのである(日本では与沢翼などが有名)。そうして、Googleマップに案内されたところで、何の変哲もない住人用入口に行き着いただけであり、私はとりあえず写真撮影を済ませ、駐車場から出てくるフェラーリを恨めしそうに眺めたところで、次の目的地に向かうこにとした。

 

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ブルジュ・ハリファの住人用入口


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真下から見上げたブルジュ・ハリファ

 

 次の目的地は、ドバイ・オペラとドバイ・ファウンテンである。この2箇所はほぼ隣接していると言っていいところにある。まずはドバイ・オペラであるが、ここも接近しようとした時に1度工事現場に阻まれた。そしてやっと着いたと思い、私の目に飛び込んできた姿は、特徴的な形はしているものの、特に何もない変な建物だった。しかし、ひとつだけ印象的だったのは、日本においては不良がコンビニの前にたむろするのが日常の光景なのに対して、このリッチな国では、ドバイ・オペラの前でたむろする学生を見られたということである。

 

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行く手を阻まれた工事現場

 

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ドバイ・オペラの入口でたむろする地元の学生

 

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ドバイオペラ全体像(別日に撮影)

 

 そして、ドバイオペラのすぐ近くにある、ドバイ・ファウンテンのショーの観賞をするため、そこに向かった。ショーは毎日、昼の3回と18時から23時までの30分おきにあるのだ。ショーの観賞場所は様々あるのだが、初めてということもあり、私は比較的一般的な場所から観賞することにした。そして、初めてのショーが始まった。音楽と共に巨大な噴水が空中に舞う。それは圧巻であった。しかし何かが物足りない。そう、ライトアップである。5月のドバイでは、夕方とはいえまだ明るいので、ライトアップされたドバイ・ファウンテンのショーを見るには、1時間以上も待つ必要があった。幸い私は、暇人なので、ただひたすら周りに目を向けることで気を紛らわせながら、長時間その場で待ち続けた。サッカーをプレーする親子。謎のうるさい汽車(子ども用遊具?)。極めてエレガントな女の人の写真撮影。そして、30分に1度は来る噴水ショー。そして、噴水ショーを見飽きた頃には暗くなり、遂にライトアップされたショーが始まった。それは先程までとは大きく異なり、長時間待ったということによるバイアスもあってか、非常に壮大かつ美しいショーだった。そしてそれがとても気に入った私は、以降ドバイ滞在中にその辺りに足を運ぶ度に、様々な観賞ポイントからそれを鑑賞するという、ドバイ・ファウンテンガチ勢へと目覚めたのである。

 

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やたらエレガントな女性を思わず盗撮


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ドバイファウンテンのショーの観賞スポット


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謎のうるさい汽車

 

 ドバイ・ファウンテンのショーを一通り見終えた私は、内容の非常に濃かった1日目の疲れを癒すため、ホテルに戻ろうとアル・リッガの駅に向かった。駅に着いた私は、丁度夕食どきということもあり、何か美味しくて安い店を探そうとした。しかし、そのあてがない。もちろんGoogleを使えば簡単なのだが、それでは面白くない。というわけで、地元の人に聞いて見ることにした。道行く人々の中から、目に付いた1人の男に美味しくて安い店を尋ねた。すると彼は、「東アジア人だから米が好きだろ?じゃあ、あそこのビリヤニ屋がオススメだよ」と偏見にまみれたリコメンドとともに(実際に米はとても好きではあるが)、私を店まで案内してくれた。店に案内された私は、旅に出る前から噂で聞いていたパキスタン料理、ビリヤニの味に興味があった。そこで私は、シンプルなチキンビリヤニを注文することにした。驚いたことに、その価格はなんと日本円で約600円。極東の島国から来た乞食も大喜びの価格である。ドバイは外食の物価がとても高いと聞いていたので、非常に驚いた。そして、出てきたその料理は運命の出会いであった。それまであまり食べたことのなかったタイ米は、元々米は少し硬い方が好きな私の好みに非常にマッチし、またタイ米はスパイスと合わせると、非常に良い香りを放つということもあり、極めてエスニックな味を感じられる美味であった。それと共に、全く何の盛りつけの工夫をされるわけでもなくデカデカと乗っけられたチキンを頬張ると、そこはもう天国であった。また、元々ある程度スパイシーなビリヤニをさらにスパイシーかつフレッシュにするために添えられた、トマトとチリのソースを合わせると、本当に今でも忘れられないほど美味なひと品となった。ちなみに、後に日本に帰国してから、インドカレー料理店にてビリヤニを食べたのだが、あれはビリヤニと名乗ることを許されるべきではない、ただのカレーピラフであった。そう、日本にはビリヤニを名乗ることが許されるような1品は少なく、ほとんどがただのカレーピラフなのである。そんな中、ビリヤニを頬張る私の前にある男が現れた。「ここ座っていい?」その男は、私にそう聞いて相席をしてきたのである。極めて海外な文化を感じた瞬間だ。その男は、これまたその日の朝にであった男(ロイ)と同じ、フィリピン人の出稼ぎ労働者であった。その男と話しながら、食事を進める私であったが、その男はこう言った。「なんでスプーン使ってるの?こういうのは手で食べるのが地元スタイルだよ」非常にワイルドかつ、不衛生ではあるが、郷に入っては郷に従えということで、私は彼と同様、手を使ってビリヤニを頬張った。手でメインディッシュを食べたのは、私が小学生の時に、小学校での特別授業としてサニー・フランシスとかいうインド人の料理人がカレー作りを教えに来た時に、文化体験の一環で熱々のカレーを手で食べるという、リアクション芸人さながらの食事をして以来であった。また、ここで衝撃の事実が彼から知らされた。そのビリヤニ屋では、ビリヤニのおかわりが無料でし放題であるのだという。つまり、約600円で食べ放題。しかし残念ながら、日本出国前に食べてきた大量の不味いラーメン、エミレーツ航空の圧倒的ホスピタリティ、アンディと食べた謎のオープンハンバーガーなどのダメージが残っており、基本的には大食らいの私でも、1杯で満腹になってしまった。そんな私を嘲笑うかのように、彼は空腹だと言い放ち、結局3杯のビリヤニを平らげて去っていった。3杯目を注文する時に彼は、「お前の分を俺が注文するよ。」とか、「俺は腹減ってんだ。すまんなー。」などと訳の分からないことを言っていた。

 

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絶品の600円食べ放題ビリヤニ

 

そんなこんながありながら、ホテルに戻った私は、思いの外綺麗な部屋に驚きながらも、疲れがあったこともあり、すぐにシャワーを浴びることにした。しかしここで事件が発生。この先、バックパッカー人生を歩む中で、しばしば直面するその問題。それは、シャワーの温度調節が極めて難しいという問題である。2つの蛇口があり、熱い方と冷たい方がある。このふたつを絶妙な位置に持ってこないと、ちょうどいい温度にはならないのだが、このシャワーにはさらなる欠陥があった。というのも、このシャワーは、温度が高くなればなるほど、水圧がよわくなるのである。ちょうどいい温度だけでなく、水圧とのバランスを考える必要があったのである。誇張なしに十数分格闘した末、遂にシャワーを浴びた。そうしてシャワーを浴び終えた私は、疲労から倒れるように眠ってしまった。時差の影響もあり、この日の朝方に大学のオンライン授業があったのだが、そんなものに参加出来るわけもなく、次の日の朝(と昼の間ぐらい)まで完全に睡眠学習をしていた(訳:爆睡してて授業飛んだ)。

 2日目、アンディと待ち合わせをしてとある場所に向かった私を待っていたものとは......

 

次回、大昔の旅人の足跡を追って

                                                      to be continued.....

 

 

 

 

第3話 金満 ~巨大モールに潜む悪夢~

 世界一の巨大ショッピングモール、ドバイモールに到着した私とアンディは、とりあえず探索を始めたのだが、この時私はまだSIMカード問題と格闘していた。そして、アンディと共にドバイモールを物色しながら、GoogleSIMカードについて調べるという圧倒的マルチタスクをこなす中で、私は遂に見出した!!活路!!圧倒的活路!!(カ○ジ風)

 

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当時の私のイメージ画像 (画像はイメージです)

 

そう、私のスマートフォンにはSIMロックがかかっていたのである。そこで私は、時差はあったものの、日本時間としてもまだ浅い時間であったこともあり、すぐさまドコモに電話をかけ、遂に5時間にも及ぶSIMカードとの戦闘を制したのである。

 そして、私とアンディは歩き続けた末、とある物を発見した。ドバイモールの目玉のひとつである、世界一大きい水槽を擁する、ドバイ・アクアリウムである。入場料は5千円強なのだが、乞食の私は魚を見るだけのためにそんなお金をくれてやるわけもなく、入場ゲートの外から、ゲームでいう体験版のような景色を楽しむのであった。ただし、ゲームの体験版のような景色とはいえ、世界一大きい水槽を拝むことは出来たので、ドバイモールは太っ腹である。

 

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ゲームでいう体験版のような景色(十分)

 

次に私とアンディの前に現れたのは、いかにもエスニックなエリア。ショッピングモール内は外国の高級ブランドが立ち並んでおり、気を抜くとアラブ世界にいることを忘れそうになる中、そのエリアにある門の上にはスーク(中東の市場のこと)と書かれており、私達は一転してアラブ世界に引き戻された。

 

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エスニックな門

 

そうこうしているうちに、時間は正午。私とアンディは昼食をとることにした。私たちが選んだのは、ハンバーガーのくせに何故かサンドされておらずに、めちゃくちゃオープンなハンバーガーとイチゴのソーダである。味は美味しかったのだが、やはりショッピングモール内ということもあり、ドバイプライスが私達を襲った(恐らくアンディはノーダメだったのだが)。

 

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何故かサンドされてないオープンなハンバーガ


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めちゃくちゃ美味しかったイチゴのソーダ

 

ここで、ひとつアンディとの会話を紹介しよう。アンディがドバイモール内にある香水の広告のモデルをしていたデュア・リパの写真を見た時の話だ。彼はおもむろにこう言った。

 

アンディ「僕、世界で2番目にデュア・リパが好きなんだよねー」

私「じゃあ世界一は?」

アンディ「僕の彼女。彼女はアメリカ人のモデルなんだよねー」(ケータイを取りだし写真を見せる)

私「おー、めちゃくちゃ美人やねー」(訳:バチクソ美人やないかい。ふざけんな。Fuc× you!!)

 

今思えば、あの会話において私は、彼女自慢をしたいアンディの手のひらで転がされまくっていたのであろう。

 ともあれ、食事を終えた私達は散策を再開。次に目にしたのは、少年時代に映画館で見た映画、『ナイトミュージアム』のような光景であった。なにゆえこんなものがショッピングモール内にあるのか、理解に苦しんだ私であるが、それがリッチということなのだろうと無理矢理納得することにした。

 

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ショッピングモールには有るまじき恐竜の標本

 

 こうした場所を通過し、ドバイモールの端まで来た私たちの目に飛び込んできたのは、バカでかい滝と圧倒的に謎なモニュメントであった。何故、ショッピングモール内に巨大な滝があるのか?もはやそんな野暮な疑問は世界一のショッピングモールには通じないのである。

 

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バカでかい滝と謎のモニュメント

 

 最後に私たちの目の前に現れたのは、ドバイらしいと言えばドバイらしい、圧倒的な高級車である。ドバイモールの一角に飾られたその車は、Wモーターズのフェニア・スーパースポーツである。この車は世界限定25台生産であり、価格は新車価格で1台2億円以上。しかし、これがただ飾られていたというわけではないのである。期間内に約1万円以上の買い物をした顧客のレシートには、くじ番号が添付されており、そのうちの一人が当選者としてその車を手にするのである。もちろん乞食の私には、くじ番号が割り振られることすらなかったのだが......

 

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フェニア・スーパースポーツ

 

ちなみに、このドバイモールにはとある落とし穴(ではないが)があった。というのも、この広大なドバイモールには、私の記憶が正しければ4つの、少なくとも3つのス○ーバッ○スがあったのである。そう、1か月前に私が面接落ちしたあの大手コーヒーチェーン店である(n回目)。そうしてス○ーバッ○スの呪縛から逃れられない私とアンディはドバイモールの探索を終え、次の日にまた共に探索する約束をして、その日は別れたのであった。遂に単独行動を開始した私を待ち受けていたものとは.....

 

次回、旅で最初の夜

                                                       to be continued.....

 

 

 

 

第2話 大物 ~第1村人発見~

 ドバイ国際空港に降り立った私に話しかけてきたその男は日本人であった。今となっては、旅の途中に日本人を見ると、旅をしている感が薄れるため、私は露骨にテンションを落とすのだが、当時は初めての孤独の海外旅行ということもあって、日本人と話せることによる安心感があった。

 

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ドバイ国際空港
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リッチなドバイ国際空港の時計はロレックス

 

 女性でいうとセミロング程の髪型のその男はまだ若く、彼によるとまだ20代前半だそうだ。その男に誘われるまま、空港の荷受エリアを抜けてすぐにある某大手コーヒーチェーン店、ス○ーバッ○スに入った。そう、1ヶ月前に私が面接に落ちたあのチェーン店である。そこで私は彼に合わせて普段なら頼まないであろう、何かキャラメル味の甘ったるいやつ(テキトー)をオーダーした。甘党かつバニラ好きの私は、期間限定のイチゴのやつ(テキトー)がない限り、基本的には(居酒屋でいうとりあえずビールの如く)とりあえずバニラクリームフラペチーノのヴェンティサイズをオーダーするという、いかにもデブなスタイルを貫いているのである。このブログの読者はとりあえず私にバニラクリームフラペチーノの1杯でも奢ってください(乞食)。

 

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オーダーしたキャラメル味の甘ったるいやつ

 

 私は未だにその男の名を知らないのだが、彼はとりあえずは苗字の「安藤」からとって「アンディ」と名乗っていた。オシャレである。その男は日本語と英語だけでなく、フランス語とロシア語までも話せてしまうという圧倒的ハイスペックニキなのであった。というのも、彼は純粋な日本人ながらも幼少期をカナダで過ごし、現在はフランスを拠点に過ごしているらしい。彼はファッションデザイナーであり、過去にはあの有名なパリコレでアシスタントとして働いたこともあるらしい。オシャレである(n回目)。ここでひとつの疑問が浮かび上がった。ロシア語は何故話せるのか。尋ねてみたところ、彼は過去にロシアでボランティア活動をしていたことがあり、その時に習得したというのだ。オシャレである(しつこい)。そして乞食の私は彼にスタバをご馳走になり、彼とはしばらく行動することとなった。早速私は最初の仕事に取り掛かった。最初の仕事というのは、SIMカードの確保である。一般的な日本人旅行者は、WiFiを空港で借りて旅をするものであるが、それでは高額かつ、ポケットWiFiの充電が切れると途端に詰むのである。というわけで、空港のSIMカードショップ(DUというブランド)を訪れ、そこそこ並んだ末にSIMカードをゲットしたのだが、ここで問題が発生した。そう、何故かそのSIMカードが機能しなかったのである。もちろん、DUですぐさま相談するも、原因が分からずに困り果てた。とりあえずアンディを待たせるのは悪かったので、そのまま私達は各々のホテルへのチェックインをしに行くことにした。謎のプリペイドカード(日本でいうICOCA的なやつ)を買い、電車に揺られ、まずは私のホテルがあるアル・リッガという駅に行き、チェックインを済ませた。そして、その後にアンディのホテルに向かったのだが、ここで第2の出会いがあった。私達がGoogleマップを見ていると、ロイと名乗るフィリピン人の男が話しかけてきた。私は初めての海外旅行で警戒心がとても高まっており、彼を最初は全く信用していなかった。しかし彼は親切にも、ただただ私たちを目的のホテルにまで案内してくれただけの男であった。そして着いたアンディのホテルはやはり、どデカい超高級ホテルであった。どデカすぎて、アンディが部屋に戻ってシャワーを浴びて帰ってくるまで30分以上かかり、その間私はロイと共に談笑を楽しみながら、高級ホテルのフロントに圧倒されていた。話を聞くと、ロイはフィリピンから出稼ぎでドバイに来ており、数年間ドバイで働いているそうだ。そう、ドバイの人口の8~9割は外国人であり、私の体感的にはフィリピン、ロシア、エジプトあたりからの移民が多いように思えた。そしてそのロイとの会話の中で1番謎だった会話をここで紹介しよう

ロイ「お前、マスク外したらどんな顔してんの?俺はこんな感じ(マスクを外す)」

私「ん、まぁ見せるほどのもんではないがこんな感じや(マスクを外す)」

ロイ「........」

今思っても訳の分からない会話だった。そうこうしているうちに、アンディがいい匂いを漂わせて汗まみれの私の元に戻ってきた。そして私達はロイと連絡先を交換した。そこでロイとの行動は終わり、彼は仕事に戻っていった。私とアンディは最初の目的地であるドバイモールに向かった。ドバイモールとは、世界最大のショッピングモールであり、あの世界一高い建物であるブルジュ・ハリファや、世界で2番目に大きい噴水である、ドバイファウンテンに併設されるような位置にあるリッチな場所である。(ちなみに世界一大きい噴水は、これまたドバイにあるパームファウンテンである。)

そこに到着した私達を待ち受けていたのは......

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ドバイモールとブルジュ・ハリファ

 

次回、ドバイモール探索編

                                                  to be continued....